ホリゾンタル or スローピング? |
2012/2/1 2015/3/22 更新 |
(2015/3/22) レイアウト変更、 追記など |
他のページでも述べていますが、web環境の変化でブラウザにによりレイアウトが崩れてしまっている場合がありましたので、レイアウトを変更、更新しました。 |
最近のFAQは? |
暫く更新が出来ておりませんでした。 まず最初に、後でいきなりラレーでなくアラヤの自転車が出てきます。このページはラレーに限ったことでなく総合的なことも多いので、アラヤからもリンクをつける予定です。そのためもありますし、今回の題材的にもアラヤの自転車を扱っていることご了承下さい。 最近多くいただくご質問は、ロードが普及して、ロングライドやツーリングにロードを使用される方が多いのでしょう。どのくらいまで太いタイヤが装着できるかどうかと言うご質問がとても多いです。そして最近のフレームデザインの嗜好の流れもあり、トップチューブが水平かどうかが多いように思います。タイヤについては、簡単に言いますと、ロードの49サイズブレーキを使っている場合(ラレー・アラヤ以外のブランドのロードでもほとんどがこの仕様ですが)、フレームの設計如何に拘らず、700×25Cが限度。パナレーサータイヤで700×26Cまで。しかしタイヤメーカーやブランドにより実寸が異なる場合があり注意が必要です。詳細は、また後日ご説明したいと思います。 今回は、トップが水平?、ホリゾンタルなのかどうか、ここでまとめておきたいと思います。 |
(2015/3/22追記) 装着可能タイヤサイズに ついて |
上記で、「ロードの49サイズブレーキを使っている場合・・・700×25Cが限度」と述べていますが、2014モデルのスチールフレームロードCRF、CRN等は標準仕様で25C採用。オプションのマッドガード装着しない場合、標準的な28Cまで装着可能になっています。「設計如何に拘らず」としていましたが、設計如何では可能であったことになりますね。 |
残念ながら、 わずかにスロープしている サイズもあります |
まず、最初にトップチューブが水平かどうか。カタログ写真でみて明らかにスローピングしているモデルはともかく、たとえばラレーCLSの510mmや、アラヤEXS510mmは、微妙にスローピングしているように見えます。 最初に現実を申し上げます。これらモデル、あるいは2012ラレーCRR、CRF(以降年度のCRF、CRも同様です)アラヤEXRロードの480mmサイズのトップチューブは、わずかですが前上がりです。またクロスバイク系の500mm以上のサイズも同様です。CRN520mmもほんのわずかですがしています。しかし、それほど気になるものではないとないと断言します。またわずかな前上がりスローピングにしている理由があるのです。例によって長くなりますが、下記に説明いたします。 また、書いてからあらためて読んでみると、わずかなスローピングを正当化するための自己弁護を並べているように感じられないか、不安にもなるのですが、他にいい表現が見当たりません。途中、何度も述べているように、当方の思い込みの部分も多分にあると存じます。感じられたご意見など、ご連絡いただければうれしく存じます。 |
アラヤEXS510mmの例 |
上はイメージ画像になります。すでに冒頭申し上げていますので、この2台の違いを探していただくのはわかりやすいかも知れません。アラヤ・スポルティフEXS510mmサイズで、仮にトップチューブが水平になった場合が奥の自転車、手前がわずかにスローピングしている製品の510mmサイズです。なんだあ、ちゃんと水平になるじゃないか。と、思われましょうが、85mmくらいになったヘッドチューブ状況の詳細は右のようになります。ヘッドラグは上下近づき互いに干渉します。また 細かいことになりますが、フォークはヘッドチューブ上下に配されたヘッドセットのベアリングで回転できるようにフレームとフォークが接合されますが、上下ヘッドベアリングの間隔はそれなりに寸法のあるほうが強度的にも有利です。 |
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なにより、ヘッドチューブはある程度長さがあるほうが美しく、85mmヘッドチューブのように、トップチューブ・ダウンチューブがくっついたようなスタイルは、思い込みかもしれませんが決して美しいとは思えません。 それでも、トップチューブ水平に拘ったほうが美しいのではないかというご意見もありましょう。カタログ写真は正直に製品を写します。カタログ内で定規で当ててみて、前上がりが気になるのは良くわかります。街角で何か水平基準になるものに立てかけたときにはわかってしまうのでしょう。しかし、自転車単体でで見た場合、このくらいのトップチューブの傾きはほとんど気にならないと断言します。今までこのお問い合わせに対して、このようにお答えしたことがあります。2011のラレーCRR/CRF510mmでは、EXSよりさらに1.3度ほど傾きますが、実際には気にならない程度と回答したことがありますが、納車後にご納得いただいた経緯もありました。 まだ、制作途上でご不自由をおかけしておりますが、2012ラレーWEBカタログでは、トップチューブの傾きの角度を記載しています。たとえばCRR/CRFの480mm。傾き3.9度とありますが、トップチューブ1本分くらい、おおよそ4度くらいまでだと程度の差は有りますが、実車ではほぼ水平と感じるでしょう。2012からCRRとCRFの最小フレームサイズは、2011の470mmから10mm上げたのは、480mmならトップ水平に見えるこのフレームになるというデザインコンセプトがあったのです。 |
それでもホリゾンタルに 拘りたいっ!! |
それでもトップ水平に拘りたいという思いをお持ちの方の気持ちはわかります。他のページにも書きましたが、マウンテンバイクでスローピングフレームが一般的になり、現在では他のカテゴリーのスポーツ車にもスローピングが波及しましたが、昔は、「スポーツ車たるもの、トップチューブは水平であるべし」という不文律がありました。しかしコンパクトなフレームサイズでは難しくなります。そこで用いられた方法が上記のようにBBドロップを小さくする方法です。そんなに極端にBBドロップを小さくしないのであれば、上記イメージのように自転車自体はそれほど違和感は生じません。そして寸法上のフレームサイズは小さくなります。しかし、地面からの高さの絶対値は低くならないのは当たり前です。これではサドル高さを適正にセットしたときに、ペダルから足を外して着地するのが難しくなります。また、自転車は各カテゴリーでそれぞれ適したBB下がりの数値があります。ロードなら70mm程度で高速走行での低重心、マウンテンバイクなら地面からヒッティングを避けて、オフロードでの走行性を考慮して高めということです。BBドロップをフレームサイズの関係だけで変えることは、車種に適したBB下がりを取ることができません。いわば数値上だけのごまかしになるのでしょう。 |
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別にエラそうなことは言えません。そのときには小さめのBB下がりで19インチ(480mm程度)のロードタイプを設計して欧米に輸出しました。日本国内でも700Cより車輪径が大きい27インチホイールでなんと460mmの一般スポーツ車がありました。これなどBB下がりはわずか45mmでした。 オーダー車で用いられる方法としては、フォーククラウンを限界まで薄く切削し、ラグも上下切削を行って、ヘッドチューブの長さを確保し、トップチューブ・ダウンチューブの間隔を取り、見た目のバランスを図る方法もあります。 |
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右ボタンで 禁断のヘッドチューブ工作 へGo |
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詳細は上になります。量産向きではないですし、あらかじめ乗る方がわかっているオーダーならともかく、強度面を考慮されたフレーム各部材を切削することは、フレーム全体の強度の問題もあると思います。 |
500mm以上なら トップ水平にして欲しい!! クロスバイクは なんでスローピング? |
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上記各ボタンにマウスを置いて画像で比較をご覧ください | ||||||
前に申しましたように、思い込みが大きいのかもしれませんが、520mm完全水平の場合、極端に短いヘッドチューブと、その上におかれた厚みあるスペーサーと角度の上がったハンドルステムで、ハンドル周りが重くアンバランス見えてしまうように思います。多分、最後に用意したボタンでRFC550ホリゾンタルもご覧になられたと思います。結局、このサドルとハンドルの地上高さ設定の場合では、フレームサイズ550mmでも問題ないと感じられたのではないでしょうか。しかし、サドル高さはともかく、トップチューブの高さ、つまりスタンドオーバーハイトは大きくなります。やっぱり、街中で気軽に使うには跨ぎやすいスタンドオーバーハイトが欲しいです。それにフレームサイズ550mmのクロスバイクは、550mmという数値上のイメージだけで日本のクロスバイクのマーケットには難しい(フレームサイズ数値イメージについては下記に述べています)。あれこれ思いますと、標準仕様のわずかなスローピングがクロスバイクには適していると思うのですが、ちょっと我田引水かもしれません。 |
サドル高さバランスの ビミョーな関係 スタンドオーバーハイトは? |
上の例で、550mmトップ水平の場合は、シートポストがそんなに上がっていなくでもまとまって見えると書きました。これはクラシックな自転車のイメージにつながっているのかもしれません。以前のスポーツ車の写真を見るとこのような例が多いです。著作権もあるので多くの例を示せませんが、右ににラレーのカタログアーカイブからのイメージを置きます。 今はシートポストの全長が300mmや350mmは当たり前になりましたが、昔は150mmが標準。180mmでロングサイズ(!!)とされていました。全長150mmの内、フレームに最低限差し込む部分が必要ですし、サドル取付ブラケット部分もあります、結局上げられる直線部分は6cmほどしかありません。これでは上げたくても上げられなかったのです。 スタンドオーバーハイトの考えはどうだったのでしょうか。スタンドオーバーハイトはトップチューブにまたいだときに股下寸法をクリアすることですが、こんな状態では、トップチューブにまたいだときに、楽々と足を地面にベッタリとつくことが出来ません。 |
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1947年RRAレコードエース。 当時のサドルの上げ方は大体こんな感じでした。 |
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1957年LentonSport。シートポストはサドルバッグのベルト分しか上がっていません。トップチューブを跨いだとき痛そう・・・ | |||||||
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停車時には、とにかくつま先でも着地できればいいという考えでしたでしょうし、慣れればそんなに問題ありません。またトップチューブの高さが股下より高くても、チョット痛いでしょうが(笑)またいで着地することはできます。そんなに長い間またいだままということもないでしょう。 スタンドオーバーハイトが股下をクリアーするように、と言うのは、絶対的な安全性を考えたアメリカの消費者保護の立場から出てきたものと察します。一時、北米のスポーツ車は、ほとんどがマウンテンバイクになりました。十分なスタンドオーバーハイトは、マウンテンバイクで、オフロード走行を楽しみ、安全に走るにはとても重要なことです。これがスポーツ車全般に広がったものと思います。安全性だけでなく、跨ぎやすいということは、乗りやすく、親しみやすいということ。スポーツ車の普及のためにはいいことですし、否定するものではありません。 初めて買ってもらったスポーツ車はとてもサイズが大きく簡単にまたげるものではなかった・・・と、言うのは人から聞いたハナシとしておきましょう。ケンケン乗りというのも良く知りませんが(?)、大きなサイズでも乗れるための方法だったのでしょう。「丁稚乗り」という乗り方もあったそうです。いよいよこれ以上は避けましょう。ちなみに、これら昔の乗り方は、不安定な乗車になるので絶対にお勧めできるものではありません。まして、丁稚乗りなど、曲芸のような乗り方なんて・・・、あっ、知りません、知りません。そんな乗り方・・・。それを考えると、今はとてもフレームサイズの小さいCTBが立派な変速機を搭載し販売されていて、小学校低学年のお子様でもラクラク乗れます。いい時代になりましたね。 |
それでもホリゾンタルに 拘りたいっ!! |
ラレーRFC比較で、ハンドル高さセッティングのバランスの関係を述べました。それらを考慮した例を、前回同様に画像でご覧ください。先のRFC同様に下のボタンにマウスを置いて比較画像をご確認ください。 |
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比較的タウンユース、街乗りの機会が多いと思われるラレーCLBも510mmサイズではわずかなスローピングに加えて、ハイヘッド・ハイコラムを採用しています。街を流す場合は、それほど前傾姿勢でなく高いハンドル位置で乗りたいですね。しかし完全水平で普通のヘッドの設定では、上画像のホリゾンタルイメージのようになってしまいます。これも持っているイメージかもしれませんが、スポーツ車のハンドルは低くセッティングしているように見えるほうがそれっぽい。CLBも見た目はクラシックなシティモデルみたいに見えますが、れっきとしたスポーツ車。スポーティに見えてなおかつハンドルの絶対的な高さを高くしたい。それに対応したのがこの方法と考えているのです。 |
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また、クロスバイクではありませんが、アラヤ・フェデラルFEDも同じように少しのスローピング・ハイヘッドの仕様になっています。比較的敷居の低いドロップハンドルのツーリング車として、少しでも低いスタンドオーバーハイトと高めのハンドルセッティングを考慮した設計です。アラヤ・ランドナーRANは、前身のモデルではハイヘッドの仕様としていましたが((ロストワックスのヘッドラグに、わざわざハイヘッド用のチューブを延長してロウ付すると言う工作をしました)、現行モデルでは採用を見送りました。ランドナーの再発見とうことでのハイヘッドの採用と、それなりに認識された後での採用見送りという思いです。 |
スローピングフレームの メリットも、お忘れなく |
ホリゾンタルばかり述べました。もちろんスローピングを否定しているものではありません。スローピングフレームもまた大きなメリットを持っています。 スローピングフレームって言う言葉ですが、これは完全な和製英語。海外では通じません。スローピングトップチューブフレームなんて長い言い方になります。ホリゾンタルフレームもやっぱり和製英語です。 どこかで述べたかもしれません。「スローピングフレーム」も「ホリゾンタルフレーム」も、以前はアラヤで商標登録していました。先に書きましたように、スポーツ車のトップチューブは水平であるべしとされていました。たとえマウンテンバイクでも、当時は許されることではなかったのです。しかし足着き性が重要な自転車。日本人の一般的な体格を考えるとトップ水平では絶対に設計不可能。 |
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1987年マディフォックスカタログから。下図はスローピングフレームの特徴説明。スローピングフレームを、マウンテンバイクのためより、幅広い適応身長を第一にしているのは多くのユーザーさんを迎えたい気持ちの表れでしょうか。 | ||||||
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それで設計されたのが思い切ってトップチューブをスローピングさせることでした。それでも発売するときは及び腰 。そこで420mmのスローピングフレームと、510mmのホリゾンタルフレームの二本立てにして発売したのが1987年モデルでした。 ホリゾンタルの販売が多かったのは発売当初だけ。その後急速にマウンテンバイクでのスローピングフレームの良さを認識していただき、大きく逆転するのには全く年月はかかりませんでした。またコンパクトなサイズは、小柄な女性の方にも愛用してもらうことが可能になりました。 スローピングフレームの大きなメリットは、コンパクトなフレームサイズが設計できるのが一番ですが、シートポストを上げて、サドル高さを高くセッティングしても、見た目のバランスが悪くありません。ヘッド部分が上がっているので、サドルも高くセッティングしないとサドルとハンドルの高さ位置関係が適正にならないこともあります。サドル高さを高くセッティングできるということは、サドル高さセッティングの自由度が高まることです。マウンテンバイクでは、オフロードでサドルを低めにセットしたい状況もありますが、それにも対応できます。そして、ケチな考えですが、一台の自転車で身長が異なるカップルで兼用ということもできます。フレームの三角部分が小さくなるので、フレーム剛性が向上するといわれたことがありますが、これはそのように言われれば納得してしまうようなロジックですが、高く上げたシートポストはどうなのでしょうか。ちょっと怪しい。また、最近はフレームの高剛性は場合によってはデメリットと受けとめられることもあるのか、このメリット表示はあまり言われなくなりました。 また、最初にスポーツ車にチャレンジされる方への大きな障壁は、ママチャリに比べて高めのサドル、前傾姿勢を強いる低いハンドルですが、スローピングフレームだと慣れるまでサドルを低くセッティングできますし、ハンドルは高いヘッド位置のためにそのサドル高さですとハンドルは比較的高めです。 上に、ハンドル高さやサドル高さのバランスがどうのこうのと縷々申し上げました。これなどは、いわゆる数値などでは表せない様式美であり、またそれも人それぞれに感覚も違うのでしょうが、様式美にある程度決まったものがあるように思います。そんな様式美の積み重ねなどが、自転車ってシンプルなんだけれども、難しいものにしてしまってます。 しかし、それらを無視して独自の文化を持つのが、新しい自転車のカテゴリーです。BMXはまだ比較的新しいカテゴリーの自転車です。BMXでは、トップ水平が何するものぞ。BMX誕生当時からトップチューブはスローピングしてました。スローピングフレームは商標登録なんていいましたが、決して威張れる画期的な発明ではなかったのですね。 |
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リムでは、常々思うのですが、スポークアイレット。いわゆるリムのハトメで、これの必要性です。今でもアイレット付のリムはありがたがられるます。確かに見た目に高級なイメージがあります。遠い以前、アルミリムは、アルミの肉厚均等な円管から成型するので張力ストレスのかかるニップル部分にアイレットをつける必要がありました。アイレットはそのときの名残りです。昔はアルミリムというだけで、すごい高級品でした。もちろんスチールリムには昔からアイレットはありません。そのようなことから、アイレット付=ハイエンドのイメージを引きずっているのでしょう。しかし、今ではアルミの押出成型技術は飛躍的に向上して、自由に断面形状を設計できます。ニップル部分を厚く、大きな強度を必要としない部分は非常に薄肉にできます。現在多く採用しているAR-713ロード用リムにアイレットを採用していないのはこのためです。それでも海外の顧客から今でもよくアイレットの要望を聞きます。海外でもこのような様式美の考えは同じなのでしょう。しかしBMXでは、アイレット付のリムを見ることはありません。もっとも小径でニップル部分と他でのストレスの差が少ないこともあるのでしょうが、昔のイメージを引きずらない新参BMXの背景もあるのでしょう。 |
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競輪競技用ARAYA 16B-Goldリム。アイレットが施されます。16B-Goldは競輪のプロ機材でもありNJS認定のため、仕様変更の難しさもあります。 |
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対して、ARAYA AR-713現行のロード用リム。各部によって厚みを変化させているのがお分かりいただけると思います。 |
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戻って、スローピングフレーム。マウンテンバイクでは早く受け入れられたのですが、他のスポーツ車では年月を待たなければなりませんでした。ましてや長い歴史を有するロードでは、様式美がしっかりとあり、とても受け入れられるものではなかったのです。今でこそ当たり前な機構にになりましたが、位置決め機構のある変速システムも、最初は誰がそんな素人向けの部品を使うのかと言われたのです。 せっかくのスローピングフレーム、ロードでも社内で提案はありましたが、そんなロードの状況の中製品化することは出来ませんでした。多分ロードでスローピングを最初に大きく提案されたのはジャイアントさんでしょう。ここにも昔からのイメージを引きずらない自転車業界では比較的新しい企業ならではではなかったからでしょうか。 今ではロードでもスローピングは普通に受け止めらるようになりました。しかし、ランドナーやスポルティフといった自転車では絶対に受け入れられないでしょう(もちろん前述のわずかなスローピングはご容赦くださいね)。ロードと違って、マウンテンバイクの大流行の間は、深く潜行していたのでロードのように洗礼を受けなかった経緯もあります。そして今、これら古き良き自転車も見直される時代になり、ホリゾンタルフレームのデザイン性が改めて見直され的他のだと思われます。 スローピングフレームの功を述べましたが、やはり功罪あります。罪はスローピングフレームで400mm台のフレームサイズが一般的になったために、500mm以上のフレームサイズが、数値のイメージだけを捕らえてとても大きなサイズとして認識されてしまったことです。今は500mm以上のサイズのロードは普通になりましたが10年くらいまでは、上のように捕らえられました。先に申したフレーズになってしまってますが、「スポーツ車はトップ水平であるべし」の時代は、日本人男性向けの標準的なフレームサイズは21インチ、533mmでした。たとえば量産車(と、言っても当時スポーツ車の生産台数は少ないでしょう)では、520mm、550mmとか、530mmと大柄な人向けに560mmと言ったサイズ構成が多く、市場要望で小柄な方のために490~500mmが後で用意されることが多かったようです(でも、上にあるようにBBドロップを少なく抑えていた例も多いです)。今より体位が良かったことは考えられませんし、脚の長さだって今の平均より短かったはずです。今、533mmって聞いたらその数字だけで大きなサイズと思ってしまいませんか。でも、そんな感覚も少しずつですが薄らいできたように思います。RRAやCRNで570mmのサイズバリエーションがありますが、少し前なら身長2m以上に作ったのか? と言われたかもしれません。 アラヤ・スワロー・ランドナーRANのサイズ構成、500、540mmはどうなの? これを新鮮な自転車としてお求めいただく若い世代の方も少なくないですが、やっぱり帰ってきたツーリストの方が多いでしょう。ずっと自転車乗っていればそうでのないのでしょうが、暫く自転車をお休みしていると、残念ながら、齢重ねると股関節の動きが悪くなる。昔560mmに乗っていた脚長さんも今ではちょっと厳しいかも。悔しいけど540mm。でも少し小さめの26H/Eホイールのおかげで、当時と同じくらいのヘッドチューブ長さの自転車に再会できることでしょう。 |
ホリゾンタルフレームは 不変 でも時代の流れも 少しずつ |
ホリゾンタルフレームのデザインが見直されてきた時代になったといえます。商品ですから時代の要求を反映したものでなければなりません。アラヤもラレーも含めて、毎年フレーム設計を更新するのは、部品スペックの変更や、デカールアートワークより手間のかかるものではあるのですが、商品である以上お応えしなければなりません。しかし、どのモデルにもすべての商品にそのまま反映することも難しいです。絶対に正解ともいえないのですが、上に述べましたように各カテゴリーに沿って設計を行っているつもりです。 ロードでは前傾姿勢は必要なものです。ホリゾンタルフレームデザインの傾向も捕らえて、ラレーCRR、CRF、アラヤのEXRは、小さいサイズでのわずかなスローピングはありますが、全サイズホリゾンタルデザインを行い、他のカテゴリーにおいては、使用用途に応じて、わずかなスローピングや、ハイヘッド・ハイコラムを採用しました。またコンパクトサイズではスローピングフレームのメリットを生かしたものとなっているつもりです。BMXの例を挙げましたが、ホリゾンタルフレームは、長い、長い歴史を持つ自転車のデザインだけに今後も淘汰されることなく、自転車の基本デザインとしてしぶとく生き残るでしょう。 裏話ですが、昔はトップチューブを0.5度前下がりにするという設計ノウハウがありました。こうすることで、実車では完全に水平に見えるということでした。しかしスローピングフレームが一般的になった現在、完全水平でも何かの拍子に前下がりに見えてしまいます。0.5度前下がりにすればもっとなおさらになると思います。わずかなスローピングは、その昔には少し許容できないスタイルだったかもしれませんが、現在なら許容しておらえる素地もあると思います。(昔でも前述の19インチサイズなどはスロープしてましたが、) 上にビミョーなサドル高さと申してました。各モデルのカタログ写真撮影。キレイに見えてもらわなければなりません。シートポストの上げ代がモデルによって変えているのは、各モデルのキャラクターに沿ったものを求めたつもりです。それと関係するハンドルの高さも。これも思い込みが強いですかね。 |
女性のための自転車の 少し一考 |
ここまでお読みいただいた方は、多分男性が多いでしょう。以下ちょっとだけ男性目線からの意見の例です。失礼します。 トップ水平の自転車は美しい。小柄な女性でトップ水平は難しい。ならば700Cより小径の650Cなら、キレイなロードが出来るのではないだろうか。是非、今スローピングフレームのロードに乗っている彼女、あるいは奥様に乗ってもらいたいっ!! ・・・と、思われる男性も居られるのではないでしょうか。 小径を使うことはある意味正解です。まず何よりフロントセンターが無理なく詰められて、トップチューブを短くしてハンドルを近く出来ます。しかし、ホイール径の変化は走行性能に影響を及ぼします。長年700Cがロードに使われたのは走行性能、路面との相性など様々な点で一番適したホイールサイズであったと思われます。単純にホイールサイズが大きいほど有利と言うのであれば、平均的な体格が日本より大きい欧州で長年育まれたロード。もっと大きなホイールサイズが出てきても良かったはずです。規格が増えすぎて困る? そんなことはないでしょう。今まで途方もない数々の寸法規格が提唱されてきたのですから。 (詳細は、「ホイールサイズについて(アドバンス編)」をお読み下さい) それにロードをチョイスされる女性は、たとえフレームが大きくスローピングしていようが、700Cフルサイズホイールのロードに乗りたいと思っておられると感じます。また、クロスバイク用途でミキストフレームは、女性に合ったデザインと思いがちでしょうが、それよりはスポーティな細身のタイヤを穿いたフラットバーロードを選ばれるケースも高いと聞きます。男性から見て、女性に乗ってほしいと思う自転車は、必ずしも女性からは歓迎されないことが多いように思います。ご自身の好みを彼女に押し付けないようにしましょう。スポーツバイクに乗ろうと思われる女性は、男性が考える以上にアグレッシブです。自転車の様式美をアレコレ考える暇があれば、自転車に乗ることが第一。見習わなければなりません。このあたりにも男性と女性の時代の流れを感じるようで・・・。 ただし以上はスポーツ性の高い用途であって、より一般的な用途であればそうとも言えません。前述の近いハンドルは男性に比べて上体・腕長さの比率が低い女性にはありがたいフィーチャーです。自転車と乗員の寸法的なバランスはお洋服と同じ感覚。また自転車自体がコンパクトになると、街中やおうちでの駐輪にもスペースを取りません。 巷ある軽快車(ママチャリ)は27インチが多いのですが、大柄な男子高校生の通学用途ならいいのでしょうが、普通に女性が街中で使用するには24インチくらいが一番理想的と思います。しかし、普通に販売されている24インチの軽快車はそれこそ典型的なママチャリが主流で、とことん価格重視のものが多くなってしまい、素敵な自転車が少ないのが現状。少々残念な状況です。 現ママチャリ以上でスポーツバイク未満の街と共棲できる、小柄な女性の為の自転車が今後のテーマと思っています。決して男性目線だけにならないように気をつけたいです。 |
(2015/3/22追記) 一部、画像・図を追記しました |
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日本の女性の平均身長158cm。多くおられるとされる身長150cm台前半の女性のためにプロポーションのいい自転車を求めたのが、ARAYA cycle CCL(上左)。またコンパクトなフレームサイズでも限りなくホリゾンタルのプロポーションを求めたRaleigh Carlton-A 650C CRA650(上右)。 |
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現在のホリゾンタルフレームへの注目は、何でしょう。推測ですが、シングルスピード、ピストバイクが注目を浴びました。使われるトラックレーサはトラックレーサーはトップチューブが水平です。一時のシングルスピードバイク流行に端を発したのではないかとも思います。こうして見ると、やっぱり自転車古来のスタイルは、誰からも美しいと思われているのかもしれません。 カタログ撮影は、お見合い写真であり、素敵なユーザーさんを求めているわけですから、少しでもいいカタチで写りたいものです。前述のようにサドル・ハンドルのポジションはどれがベストと言うことではないのですが、各モデルのキャラクターや使用用途に沿って、アレコレと考えながら(そんな暇があれば走ればいいのでしょうが)、決めています。カタログの商品写真で、各モデルそれぞれサドルやハンドルの高さが違うのはそのためです。ホリゾンタルだけれど、ロードだからサドル高め、ハンドル低めとか、ヴィンテージ系は思い切ってサドル高さをぐっと抑えたりとか、すこしユルめのクロスバイクはリラックスな感じを優先して、ハンドルを上げたりとか。 アレコレ考えること、いわば様式美を求めているようですが、これも正解なんてありません。人それぞれ感じるところは違うはずです。様式美は、先ほどの彼女向けの自転車同様、押し付けるものではないと思うのです。しかしロジカルな説明は出来ないのですが、何か暗黙の認識があるようにも思います。だから自転車は面白い。だからカンタンに見えて難しいところでもあります・・・。 なんて、考えるよりは走るほうが一番ですね。 結論の出ない締めくくりで失礼しました。 |